店舗事例06「フォーとベトナム料理」

お客様名:ハノイのホイさん

お客様名:ハノイのホイさん

経営母体の法学館さんは弁護士を育てる学校で、その業界ではリーディングカンパニーです。当然、なぜ飲食店をやるんですか?と質問するのは当たり前で自然な流れなんですが、その答えには驚きました。

『日本国内から日本人の国際化を目指すため。』これが動機だとおっしゃるのです。

なるほど、ベトナムの人が料理したり店員として働き、日本人がベトナムの文化をこの店で少しでも理解できれば、それは確かに国内でベトナムを学んだことになるのですね。

でもなぜベトナムなんでしょう。『それはフォーがおいしかったから。』これもなるほど。

最初のご面談が禅問答のようだったので、大変強烈な印象が今でも残っています。

こうして、とびきりの異業種参入のお店が出来上がったわけです。フォーのスープは初めて出店した店とは思えないほど深い味が出ています。店員さんものびのびしていて、それがとても新鮮です。できたら2号店も出してほしいのですが、次はマレーシアあたりの屋台料理とかで国際化を。是非是非。

デザインのポイント

「集客力のある効果的なパッケージング」

ベトナムの食文化をわかりやすく伝えるためには、素朴で退廃的、混沌とした現地の古い街並みを自然なかたちで表現する方法が一番であると考えました。

しかし、ここ日本においてフォーや生春巻きは女性客向けのヘルシーな食事といった印象もあり、実際のイメージとは扱いが異なります。このギャップを埋め、最良なかたちで店舗を表現し、集客につなげる必要があります。

立地に関しては渋谷の中心、専門学校や会社関係の建物が立ち並ぶ場所ということで昼夜通しての集客が見込まれます。このような要素も踏まえながら方向性を探りました。

お客様名:ハノイのホイさん

結果、装飾を避け、素材の質感をそのまま活かしたシンプルな“半屋外”のイメージで店内を構成。

全体的にポップなカラーリングを施すことで、カフェのようにカジュアルテイストながらも本物の質感を持った空間に仕上げました。天井と壁面は建物の躯体を露にしてそのまま活用。動線も意図的に曲げて回遊性を与え、開放感と活動的な雰囲気を提供、演出しました。

店内にはランチタイムに効果を発揮するカウンターと、ゆったりと落ち着いて食事ができる女性客向けのベンチシート席を設け、昼夜通してのニーズに対応。テイクアウトも展開されるということで、ファサードにはコルトンパネルや接客カウンターを設けて機能させました。

壁面にはこのお店のコンセプトをビジュアルで表現。ベトナムの人たちの活き活きとした笑顔の写真をレイアウトすることで来店された方が少しでもこの国の文化を身近に感じていただけたらと思っています。

「“シズル感”を演出する」

フォーはベトナムの“ソウルフード”です。現地では店先に寸胴を並べて販売するなど屋台形式のお店が主流です。

実質的な理由でファサードはアルミサッシで構成。この条件の下、訴求力のある現地のような販売スタイルを目指しました。

フロントサッシはガラス面を大きくとって開放的なものに。街行く人に厨房の臨場感を伝えるため、厨房とカウンターはサッシ際にレイアウト。スープを温める寸胴も入口近くに配置して効果を狙いました。

お客様名:ハノイのホイさん

カウンター越しに寸胴がよく見えるように小カウンターのないフラットな天板を制作。フロアレベル、厨房器具との関係を十分に考慮して設計しました。カウンターの天板は厨房内の壁面やフード同様、ガルバリウム鋼板を使用。

同じ素材でまとめることで境界を曖昧なものに、厨房との一体感を高めました。

「建物の要素を効果的に引き出すことで価値を高める」

外装はシンプルながらも多彩な色使いとグラフィックで“ベトナムの飲食店らしさ”を追求しました。

お客様名:ハノイのホイさん

建物の柱に挟まれているファサードは視認性が非常に悪く、遠くから目立ちません。フォーの写真を載せた大きなテントを設置して、これに対応しました。
入口の隣には地階への階段室があり、2枚のガラスで区切られた中に店舗があるという具合です。

テナントビルの場合、ファサードや店内のレイアウトなど、建物のつくりに大きく左右されます。それを考慮しつつ最良な方法で形にすることがデザインの本質です。そこでガラス素材の特性とレイヤー効果を利用したデザインを展開。それぞれに異なったモチーフのグラフィックシートをガラスに貼ることでショーウィンドウのような華やかさと奥行きを生むことに成功しました。

平面素材を立体的に扱ったこのユニークな発想は街行く人の感性を刺激し、お店の価値を高めるものになったと思います。

お客様名:ハノイのホイさん

店舗データ

住所東京都渋谷区桜ヶ丘
経営母体名株式会社法学館伊藤塾
代表者伊藤 真
開店年月日2011年5月
業種業態フォー専門店
営業時間11:30~15:00,17:00~23:00
月商不明
坪数28.9坪
席数34席
稼働日数30日
稼働従業員数/日5~10名
内装費用(厨房別・看板含む)2,000万円
特色フォーとベトナム料理