メニューブックの戦略的活用

飲食店として、商品力・雰囲気・接客・割安感 は、絶対にはずす事のできない、大切な要素です。しかし、お店の努力がお客様にメッセージとして、届かなければ何の意味も持ちません。

販売促進は、メニュー・チラシ・ファサード、そして従業員の皆さんのトークなど、あらゆる手段を通じてお客様のご来店を願う手段なのです。

メニューブックの考え方

  • メニューブックは店側からお客様へのメッセージを伝えるための最も効果的な販促ツールと考えられます。
  • どれだけのメッセージを盛り込めるかによって、客単価も変わってきます。
  • 売れ筋商品も変わり、構成比にも大きく影響を与えます。
  • 次回来店への期待感を盛り込むことによって再来店販促にも発展していきます。

よって売り上げをも左右する重要な販促ツールと考えることが出来ます。お店の計画・目標数値を実現させるために戦略的に活用しましょう。


目次

  • 戦略的メニューブックとは

    イワサキ・ビーアイが提案する~お店の計画を達成させるための販促ツール~「戦略的メニューブックについて、ご説明します。

  • メニューブックの基礎知識

    メニューブックには、「体裁」「デザイン」「構成」「コピー」 を立案する「基本設計」と、掲載するメニュー内容(マスター・機能別・時系別メニュー)を整理し体系立てる「メニュー分類」があります。ここでは、メニューブックの基本設計をご説明します。

  • メニューブック作りの注意点

    見やすいメニューブックにする為に は、いくつか注意する点があります。これからメニューブックを準備する際に注意すべき点をご説明します。

こだわりや戦略、どっちに感じる?

戦略的メニューブックとは単なるお品書きではなく、店の計画を達成させるための販促ツールとして、活用することです。

下にAとBのメニューがあります。
店の売りたい商品のアピール度、どちらが高いと思いますか?
こだわりや戦略、どっちに感じる?

おそらく全員がBと答えるでしょう。AとBは同じ料理内容なのだが、なぜなのでしょうか?。

写真の見せ方やレイアウト手法によりこれだけの差ができてしまうのだ。また、Aは写真が13点、Bは8点でBの方が5点写真が少ないが、Bはイメージ写真や手書き文字を使っているので、制作費用は同じです。

皆さんのお店は、どちらでしょうか?

戦略的メニューブックの積極的活用法

今回からは、「戦略的メニューブックの積極的活用法」と題して、店の売り上げ、利益を上げるためのメニューブックにするには、どのようなことに注意して、どのようにしたら良いのかをご説明します。

戦略的にメニューを活用することで売上・利益が大幅UP!!

メニューブックは来店客に店側の意思を伝える一番重要な手段で、売り上げを左右する最も重要なツールである。なのに、ほとんどの店は商品を羅列しているだけの「おしながき」にしてしまっている。

売りたいものに注文が入るようにするには、その商品を目立たせることが必要だが、ただそれだけで、メニューブックを作りかえれば良いと思うのは間違えである。
まずは、店を見直すことから始めよう。

いくつ出来ていますか?

自店見直しチェックリスト

  • 何が自慢の店ですか?
  • 狙う客層は?
  • 狙う商圏は?
  • 売上目標は?
  • 利益目標は?
  • 来客数目標は?
  • 平均客単価設定は?
  • 原価率の設定は?

戦略メニューに必要なこと

  • 全体の商品構成計画
  • 既存商品の見直し
  • 主力単品商品の開発
  • 主力セットメニューの開発
  • プラスワンメニューの開発

基本的なメニュー構成

メニュー構成 比率
ごちそう商品(豪華商品) 15%
タイムリー商品(季節商品や話題の商品) 15%
メイン商品(人気商品や売りたい商品) 30%
お買得商品(低価格商品) 10%
お値打ち商品(内容の割には安いと感じる商品) 20%
チョイス商品 10%

以上のことを踏まえメニュー開発をする。
そして、メニュー変更後、どう変わったかデータ分析する。

メニュー変更後のデータ分析

  • 狙い通りに売りたい商品が売れているか?
  • 商品構成比、客単価は狙い通りか?
  • プラスワン商品はでているか?
  • 持ち帰り商品はでているか?

計画通りでない場合は、その原因は味なのか?販促なのか?アンケート調査で現状を把握する。

つまり、まとめると下記のような流れになる。

戦略メニュー作りの流れ

図-戦略的メニュー分析フロー

図-戦略的メニュー分析フロー

売れて儲かるメニュー作りにおいては、上図の工程全てが大切であるが、特に売上に大きく影響するメニューブック制作について解説しよう。

メニューブックの考え方

「業者にメニューブックを頼んだが、思惑通りの結果にならなかった。」また、「自分で作ってみたが、うまくいかない。」そんな経験ありませんか?

お客様は、ただ何となく料理を選ぶのではありません。
店が売りたいメニューを食べてもらうには、そのなりの見せ方が重要になる。メニューブックの作り方次第で売上や利益が大きく変わるのである。


自店の見直しできましたか?下のチェックシートで今一度チェックしよう。

お店見直しチェックシート

項目 記入欄
1.何が自慢  
2.狙う客層  
3.狙う商圏  
4.売上目標  
5.利益目標  
6.来客数目標  
7.平均客単価目標  
8.原価率  

自店のこと・全体の商品構成のこと・既存商品の見直し・主力単品商品・主力セットメニュー・プラスワンメニュー。全て決まりましたか?

それでは、いよいよ戦略メニューブック作りの始まりです。

メニューブックの基礎知識

メニュー制作を依頼する場合、どのようなことに注意を払い、目的を達成させるための戦略メニューに仕上げていくか?依頼の仕方や要望の伝え方によって大きな開きがでてきてしまう。下のラーメン店のメニューブックを見てほしい。

店側の要望:その1
どれも売りたい
どれも売りたいメニュー

戦略的な意思がない。どのメニューが売り?

【解説】

俗に言う「おしながき」になってしまっている。おとなしいレイアウトで特に強調される部分もなく、戦略的に「こういう方向に持っていきたい」という意思のあるメニューブックになっていない。


そこで、店側から下記の要望が入りました。

店側の要望:その2
1.ねぎ味噌らーめんと塩らーめんを売りたい
2.トッピングをおすすめしたい
3.プラス一品で餃子を売りたい

上記の3つの要望を叶えるには、どのようなレイアウトにしたらよいのでしょうか?


あと一歩・・・

食べたいと思わせる写真で訴求効果。あと一歩・・・

【解説】

売りたい商品を大きくレイアウトし強調させるで目に付きやすく印象に残るようにする。その場合、「シズル感」を感じさせない写真になってしまうと効果も半減してしまうので、「美味しそう・食べたい」と思わせる写真が重要。

戦略メニューブックで売上20%UP!!

解っていただけましたか?戦略メニューのパワー。
しかし、まだ完成ではありません。完全たる効果を狙うには?

店側の要望:その3(さらなる訴求・・・)
1.ねぎ味噌らーめんの味噌は試行錯誤の上で完成させたオリジナルブレンドなので特にお薦めしたい。
2.塩ラーメンに使っている塩は、店主自ら産地に出向き選んだ間違いのないこだわりの塩を使っている。
3.味噌チャーシューは黒豚を使い、独特の味付けで自信有り。
4.餃子は自家製手作りなので評判の商品にしたい。またお持ち帰りにも力を入れたい。待ち時間をいやがるお客様のために生餃子も割引価格で提案したい。
5.セットメニューはファンのお客様がいるので外せないが、手間がかかり厨房人員が一人取られてしまう。そこで単品メニューとトッピング、ライスの組み合わせに出筋を変えたい。
6.口コミ効果を狙えるのが「ねぎ味噌らーめん」「塩らーめん」「味噌チャーシューめん」「餃子」。これを店の名物としたい。

ついに完成!

こだわりをアピールする!ついに完成!

【結論】

  1. それぞれのこだわりをアピールすることにより、目と頭に訴えかける。
  2. 写真をイメージ化させることにより、「食べたい」感覚を引き出す。
  3. 「売りたい商品」と「どちらでもいい商品」「あまり出て欲しくない商品」のバランスをうまくとり、さりげなく、目的を達成できるようなレイアウトにする。
  4. 「トッピング」を中心に位置させ、プラスワン効果を狙う。
  5. 次回来店への期待感を盛り込み再来店につなげる。

次回は、戦略メニューブックの隠されたデザイン技術について解説します。お楽しみに!

メニューブック作りの注意点

基本計画

売れるメニューブックを作るには、業態・客層・客単価・コンセプト・雰囲気などをトータルでとらえ、大きさや、デザイン、レイアウトなどを決めて行きます。

見やすいメニューブックにするためのコツをお教えいたします。

表紙のデザイン、色は?
店の雰囲気(テーブルや壁の色)に合わせるのが基本。それはなぜでしょうか?内装に合わないメニューブックは店の雰囲気を壊してしまうからです。
メニューブック大きさは?
テーブルの大きさや、ホールでのオペレーションにより異なりますが、食事主体の店では大きく、雰囲気重視の店では小さいのが一般的。開いた時のサイズでA3~A2位のサイズが扱いやすいです。
ページ数は?
商品が多い場合は、ページ数を増やすようにします。文字や写真を詰めすぎると読みにくくなるためです。但し、12ページ位までに収めるように!それでも足りない場合は、ドリンクメニューなどを差込メニューで対応しましょう。
部数はどの位必要なの?
店の大きさやオペレーション、メニューブックの加工方法により違いがあります。例えばラミネート仕上げのメニューで、常時テーブルにおいて置くオペレーションの場合は、テーブル数×2部×予備2割を目安にすると良いでしょう。
汚れたら?
メニューはお店の顔。いつも清潔な状態で使いましょう。加工方法により異なりますが、例えば、ラミネート仕上げのメニューなら、毎日1回は固く絞ったタオルで拭くように心がけましょう。

「わかりやすい」「おいしそう」と思わせる写真の魔力

メニューブックでお薦め料理やこだわりを伝えるための方法として写真があります。視覚に訴えることにより店の戦略も表現しやすく、メニューブック作りにおいて一番重要な部分です。

写真入りメニューブックのメリット

メニューが解りやすく、選びやすくなります。デジタルカメラが普及し、一般の方でも簡単に撮影できる時代ですが、写真の良し悪しはシズル感で決まりますので、プロに撮ってもらうことをお薦めします。

  1. 料理内容がわかりやすい=安心感・お得感・高いメニューも売れる。
  2. オーダーまでの時間が短縮される=回転率が良くなる。
  3. 次回は他のメニューを食べて見たいと思わせる事が出来る=再来店につながる。
  4. 写真の見せ方(撮り方)やレイアウトの手法により、売りたい商品を狙い通りに売る事が出来る=戦略を表現しやすい。

まとめ:戦略的にメニューを活用し、売上・利益に大きく貢献させるには?

  1. 「売り」となる商品を開発し、それを主軸にしながらメニュー計画に従ってレイアウトしていく。
  2. 戦略を明確に指示し、レイアウトに反映させて狙い通りの効果を生み出させる。
  3. 但し、食べて満足感のある内容でないと販促は生きてこないので、メニュー開発は最重要課題として取り組む。

最後に

「戦略メニュー」いかがだったでしょうか?メニュー替えといっても「メニューが飽きられてきたから」何の気なしにメニュー替えをしていた方、少なくないと思います。
そして特に考えずにメニューブック制作を頼んでいませんでしたか?
また、デジカメやパソコンソフトが普及し、ご自分でメニューブックを作られている方もいらっしゃると思います。

何度も申し上げましたが、メニューブックはお店の売り上げや利益を左右する最も重要なツールなのです。是非、戦略的にメニューブックを活用してください。